クリスタル

「暇なら付き合うよ?」

「結構です。友達待ってるだけなんで。」

派手な奴とはあまり関りを持ちたくない。
私は運ばれてきたビールに口を付けた。

「俺誰だか知ってんの?光輝だぜ、光輝。」

「プレート見れば分りますよ。それが?」

苦手だな、このタイプ。
てか、客にこの話し方でいいのか?
なんたって、初のこういう店だし。分らない。

「俺ココのトップだぜ?俺が話しかけてるんだから、話そうよ?」

「トップだろうが何だろうが、結構っつったら結構なんで。」

あぁ、もう面倒だな。
私は軽く舌打ちした。

ふ、と周りを見れば女性客が私を羨ましそうに見ている。
…よく分らないな、この世界。
こんな奴がモテてるのか?

「…へぇ。お前みたいな客、初めてだ。皆俺見ると声かけてくるのに。」

「私は私。他のヒト達と同じにされたらたまりませんから?」

私は髪を掻き上げる。
面倒だと思うと出てしまう、私の癖。
変な癖だし、辞めたいんだけど。

「キレィ…」

「お姉さまになってもらいたい…」

は?
周りから聞こえてきた女性客の声に私は驚く。
なんだ、ココの客たちは。
皆目が腐ってるのか?
本当に眼科に連れてった方が良さそうだな。

他の方向を見れば、男の客も居る。
え、ココ女性客だけの店じゃないのか?

レンの名刺を見ると、飲み屋と書いてある。
あ、だからカウンターとかあるのか。
メニューにラーメンだとかあるのか。

男の客も何か固まってるし。
あ、燐に見とれてるのか。
可愛いし♪