なりふり構わず、泣きじゃくっていると。
ふわッッ………
後ろから、井ノ上くんに抱き締められた。
急に何で………そんなことされても、今はちっとも嬉しくない。
「お前、勘違いしてる。とんだ大違いだ。」
勘違い?? そんなわけない。
「ど、どーして…私はこの目で見たもん………。ひっく…。」
嘘をつくぐらいなら、本当の事を言ってほしい。
「だからな、確かに俺は一度あいつらからチョコを貰った。けど、食べてない。返したんだよ。」
――返した………??
「どうして?? あんな美味しそうなチョコ、勿体無いよ………。」
私だって、食べてみたいぐらいだったし。
「だからな??……はぁ…こんなこと、ホントは言いたくないけど……。」
っっっ!! 何……?? 別れ話…?? 私は覚悟して、目を瞑った。
すると、耳を疑うような言葉が聞こえてきた。
「俺は………光葉のチョコしかいらねぇんだよ……。」
最後は声が小さくて、よく聞こえなかった。
―――私のチョコしか、いらない……??
「でも私のチョコ、美味しくないよ?? ただの、チョコマフィンだよ………??」
そんなのでいいの……??


