「はぁ…。お前何で図書室から出ていくんだよ??」
! バレてる………。
「何で知ってるの………??」
「そりゃあ、お前を見てたから。」
意味わかんない。あんなに女の子たちに囲まれていたのに、どうして気づくの…。
「今日は井ノ上くんと話せない。ごめん帰って…。」
自分でもビックリするほど、冷たい声。
そんな声に怯むことなく、井ノ上くんは喋り続ける。
「何でだよ。俺、まだチョコもらってねぇんだけど?? ――それともオシオキされてぇか??」
不機嫌そうな声と共に、トンッッ…と壁に追いやられる。
でも今はそんなの関係ない。
「私のチョコなんかいらないでしょ?? あんなにたくさんの女の子たちから、チョコもらってるんだから……!!」
最後に感極まって、涙が溢れ出てきた。
せっかくとめたのに…。ホントに今日はどうしようもない。


