「な、何あれ………。あんなチョコ貰った後じゃ、私のチョコマフィンなんかゴミ見たいに見えちゃう…。」
女の子たちが作っていたのは、色とりどりのマカロンや、今にもとろけそうな生チョコなど、美味しそうなものばかり。
「私がもうちょっと料理出来たらなぁ………。」
おまけに井ノ上くんは凄く嬉しそう。
ズキンズキン…
もうやだよ………。こんなもの、絶対渡せない………。
目から涙が溢れ出てきた。
キィッッ………
なるべく気づかれないように、私はそっと図書室から出ていく。
「皆ホントさんきゅ。でも―――」
もう井ノ上くんの声も聞こえない。
―――いや、聞こえないようにしてる。………もっと涙が溢れてしまうから。


