血が滲み、雪が紅くなっていく。力めば痛いだろうに。
直前で姿勢を地面につくくらい低くして足を斬りつけると、後ろから両肩を斬る。刀を落とし膝をつく男のうなじを斬ると、倒れて動かなくなった。
「くっ……」
「はあああ!!」
前川は二人を相手にしているからか、息が上がり圧(お)されている様子。
刃についた血を振り払い、一人の大柄な男に近づいた。ずはやく背中へ向かうと足を斬りつけた。大柄ゆえに哀音を視界に入れられなかったようだ。うめき声をあげて膝をつく。
脇腹に刃の向きを変えて斬り込むと、口をぱくぱくさせてうなじにも強く斬り込むと倒れ込んだ。
その間に前川も終わったようで、肩で息をしながら男に縄をかけていた。
「わざわざ刀を受けるから、そうやって疲れるんですよ」
「分かっていたのか」
縄をかけながら苦笑する。
先程戦っていた時とは全く違って驚きながら鞘に刀をおさめた。
