------*-------



「ねえね、さみせん!!さみせん!」




幼い妹が、丸くたれた瞳を輝かせて、小袖の袖をを引っ張った。
返事をするものの、妹は「ねえねー」と強くひっぱる。





「楓(かえで)、三味線(しゃみせん)が聞きたいの??」




今まで何度も弾いて欲しいと袖をひっぱってきた楓。

三味線を手にしたところで、楓は大きくかぶりを振った。

髪留めについている鈴がしゃんしゃんっと音を鳴らした。




「ねえね、楓に教えて??」



「……うん、いいよ。お膝においで」




四つになった楓はまだ小さく、七つの愛音の膝に座っても負担にはならなかった。




膝の上に座らせた楓の手をとり、三味線を触らせる。




「これ持って」



「わぁっ、綺麗!ねえねみたいだね」






弾ける笑顔を見せて、撥を見つめる楓に愛音も微笑んだ。







------*--------