「膝が汚れます、小椋様」 「構いやせん。二度も人斬りの哀音と言われ、平気ではないはずだ 」 「この名前です、仕方ないこと。もう慣れました」 「新選組はひどい奴だ。お嬢さん気にするこたぁない」 他の人々も声をかけてくれて、静かに笑う。 次々と新選組への不満を口にする人に、やはり芹沢鴨はろくな人ではないと思わずにはいられない。 立ち上がり、演奏をやめる旨を人々に伝え、三味線を背に歩き始める。 と、小椋が引き止めた。 「愛音、50文あれば演奏してくれるんやろう? …演奏してくれへんか」