「おい、哀音!」 「それは、人斬りの哀音でしょうか。それとも私の名―愛しい音でしょうか」 「しらを切るつもりか!!」 「何をおっしゃっているのか」 「貴様!!」 刀に手をかけようとした隊士―――だったが。 「やめろ。お前は昨晩、酒の飲みすぎで酔っていた。記憶が混ざって人違いをしている。 …彼女は以前会った三味線奏者の愛しい音。俺達を襲ったのは男の哀音だ」 前川が手を止めて、させなかった。