「これは済まない。人斬りの哀音と同じと言われては気分が悪いものだ。それに哀音は男と言われとる。薮から棒にそんなことを言われて困るんも当然や」
「小椋様は、哀音が女だと思っているのですね」
――ベンッ
低い音を鳴らす。
「女だと思っている」
次の音を弾こうとして、やめる。
集まっていた人々は興味深そうに哀音と小椋を交互に見ていた。
小椋は気にならないようで、三味線を見ていた。
「それは、何故」
「最初は男やと信じて疑わへんかった。せやけどある人に言われて気づいたことがあってな」
小椋はそこまで言って口を閉ざした。
ここで気づいたことを聞いても答えてはくれないだろう――そう寂しげな表情が語っていた。
―――ベベンッ
