「此度は私共の気の緩み、剣の腕全てが足りぬが故に起きたことです。
一番は酔っていない私が、ただの手練に負けてしまったことで、不逞浪士(ふていろうし)が新選組を甘くみたりと、ご迷惑をかけることになると思います。
全ては私の責任です」
不逞浪士やもしかすると他藩からも甘く見られることになるかもしれない。
会津藩お預かりの身ながら、藩に迷惑をかけることになれば、局長も咎められるだろう。
「ですが私は、責任をとれる程の者ではございませぬ。こうしてこうべを垂れることしか出来ない事をお許し下さい」
「前川、責任を感じることはない。芹沢さん、いくら模倣犯といえども強い者は強い。そうではありませんか」
近藤が仲介に入り言葉をかけてくれるが、前川は頭を上げるつもりはなかった。
「しっかりと稽古をつけていれば、このような失態はなかったはずだ。大きな態度をとるわりには、なってないな」
不機嫌そうに言い放ち、前川を一瞥(いちべつ)すると鼻で笑い空間を出ていった。
