「哀音だったのか」
「自らを哀音と名乗っていても、模倣犯でしょう。そうでなければ、私はここに居ることは出来ません」
皆が黙って考え込んでいると、笑いを堪えきれなくなったというような声が耳に入ってきた。
目だけでその人物を見ると、鉄扇子を手で受け止めながら笑っていた。
大柄の体に威圧感のある目は、今まで苦しめてきた人を語っているようだった。
「芹沢さん、何がおかしい」
目くじらをたて、土方は機嫌が悪いことを隠さずに腕を組んだまま言った。
「はっはっはっ!!本当に不抜けた、愚かな者たちよ。貴様も殺されていた方が良かっただろうな。
ただの手練に、京を守ると言っていた者が無様に負けたのでは新選組の顔に泥を塗ったものだろう」
静かに頭を下げる前川に、見下す目で見つめる芹沢鴨。
幹部は良い顔をしないで、だが声を発せずにいる。
