「どんな手を使っても、芹沢鴨の元へ行く。案内しろ」
「…哀音」
腰に差した刀に手をかける。
月が雲の切れ間から光をそそいだ。相手の顔がはっきりと分かった。
「局長に、何の用がある。何故人を殺してまで会いたがる」
「お前には関係ない。…だがあえて答えるとしたら、それが私の信念だからだ」
短刀を構えると、相手―――前川も刀をぬいた。
月の光に反射して、白く底光る刃。緊張の線がはりつめて、雪はそっと存在を消すように静かに降り。
雪が刃につけばすぐに溶ける。
「ならば俺も信念で、哀音を捕縛する」
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