背にある三味線に近づいたせいで気づかれ、男が騒ぐ。
「哀音が男?私にとっては有り難い噂だな。…最後だ、芹沢鴨の元へ連れていけ」
「うるさい、ここでお前を捕縛すれば新選組の名も広がる。……覚悟!!」
一歩を踏み出して、襲いかかってくる。哀音は素早く反応して襲いかかってくる男に刀背(みね)打ちをくらわせた。
うめき声と共に倒れる男に、2人の男の顔がひきつった。
首に刀を向けられていた男はかろうじて距離をとるものの、足は震えていて隙がある。
雪を踏みしめながら歩くと、刃の向きをかえて腹に斬りこんだ。
「うぁっ…!?」
「やめろ!!!」
残りの男は3人。酔っている男が怒りに身を任せてやってくる。
一瞬の時が過ぎれば、2人は倒れていた。
1人立ち尽くす真面目な男は、冷静なようだがその目には恐怖が見え隠れして、倒れている仲間を見つめていた。
「……、何故」
