「僕は………何でおっちゃんが連れていかれたのかも…お父ちゃんが何で殺されたのかも……なんにも、分からない。分からないから……」
肩を震わせ、唇を噛む。
そしてゆっくり息を吸うと。
「知りたい。僕、知りたいんだ。こんな思い、したくないっ」
「……新選組が」
憎くないの、とはつづけられなかった。
平太の向ける目に、そんなもの微塵も感じられなかったから。
「平太は、知ったときどうする?」
「知ったとき……僕泣いちゃうかもしれない……でもね、やっぱりおっちゃんもお父ちゃんも、僕の誇りだから。…おっちゃん帰ってくるの待ちながら、僕頑張るよ」
目のふちに残っていた涙が流れ、雪を溶かした。
哀音はこんな場面は知らない。
いつの間にか雪はやみ、辺りが白い世界となっている中、太陽は明るく輝いた。
