「!」
「どうかしはった?」
「いえ…三味線の音が聞こえた気がして」
島原にある置屋。そこで稽古をしている彼女は三味線の音に気づいた。
驚いた顔を見せた彼女に、姐が首をかしげた。
琴を弾く手を止めずに姐の質問に答える。
「他の稽古の音やないどすか?」
「何だか暖かい音で安心する音なんどす。耳にするんは初めてで」
「あんさんも三味線が上手どすえ。そんな泣きそうな顔しはることない。今は琴に集中しはれ」
「姐さん、ありがとうございます。」
頬を緩ませてお礼を言うと、目を閉じて聞こえる音を拾う。
指で弦を弾けば、この音もまた合わせるように響いてくる。
今の時間、稽古をしている置屋は多い。三味線、琴、笛、舞の音楽、色んな音が飛び交う中で、彼女の音に合わせているのか。
