「お姉ちゃん、哀音を…懲らしめて。僕、大和屋のおっちゃんを手伝って幸せになる」
「……平太、奥に戻ってなさい。後で手伝ってもらいたいことがあるんどす」
「うんっ」
無邪気に笑って奥へと戻っていく平太を見届けながら、主人は困ったような顔を見せた。「今までどこか元気がなくて苦しんでいたのに、お嬢さんはすごいなぁ」とのれんの向こうにいる平太を見つめた。
「なんだか、ふっきれたみたいどす」
「……」
―――――――――
「やめてぇぇぇぇぇ!!!」
空から舞って降る雪が、赤に変わる。
苦しくて、辛くて、このまま死んでしまいたいと願うくらい。
伸ばした手は届くことはなく、雪の曇り空に舞ったのは、小さな身体。
全てがなくなってしまえばいいと思った。
全てが消えてしまえばいいと思った。
下品な笑みは哀音の小さな体をすくませた。
命が、流れていく。未来が、消えていく。
―――幸せも流れて消えた。
何も出来ない無力な子供は憎むことしか出来ない。
小さな真っ赤な手は雪をいっぱいに掴んで、雪をかたくした。
