やっとの思いで口を開いた。 「私が哀音を懲らしめてあげるよ。だから平太くん、大和屋で幸せになって」 「お姉ちゃんが…?」 「お嬢さん、滅多なこと言うはるもんではありまへん。気持ちは有難い、けどなそれは平太が可哀想どす」 「人は…人を憎むより人のために働いた方が幸せだ」 憎しみに囚われた人は、哀れで愚かだ。 哀音が奪ったかもしれない幸せ。だけどせめてもの救いはそう言ってやることだと思ったから。 平太は哀音の手を両手で握った。 小さく弱々しい手は昔を思い出させた。