沈黙をやぶったのは、哀れな彼女。
「このままいけば最後まで、そう思うだろう。それが分かっていても、後悔とともに今までの生き方を貫くことでしか、生きられないのだから―――哀れだと思う」
「…………」
「復讐に生きると決めて、その中で貴方が見せてくれた夢は、とても幸せだった。楓にも会えた、恩師とも。
………夢は必ず覚めると分かっていても、それでも」
「哀音」
「わたしは、わたしで在れた。それで、いい」
哀音としても桔梗としても生きれたなど、嘘だ。
拳を握って力が入る。
「木山と江藤ですけど――――」
「哀音。………もう、哀音として生きる必要はない。そんな空虚な音も奏でる必要もない。
…………その名を捨てろ」
そんな表情(かお)で、在れた等というな。
