「すぐに走って山の方へ向かいなさい。けして戻ってきてはいけないよ」
体の向きを変えさせて、背中を押した。
すくむ足で動き出すのを見ると、残りの新政府軍に刃を向ける。
「はぁぁっ!」
新政府軍の刃を受け止めて、蹴りを入れて斬りつける。一人が倒れる瞬間、遠くで銃声が聞こえた。
―――パァァンッ…
一瞬目がくらんで、体が裂けるような痛みを感じる。足に力が入らなくなって、倒れる。
―――パァァンッ、パパーンッ!
また音がして、腕をかすめた。燃え上がるように腕が熱くなって、うめき声をあげた。
「くぅ……っ、う……」
一発目で当たった腹部を押さえても血は止まらず、痛みだけが残る。
血が流れ出る感覚と、地に這いつくばるような格好に、あの日を思い出す。
