「平太、挨拶しなはれ。お嬢さんのことは知っとるやろ」
「こんにちは、平太いいます」
「こんにちは。平太くん」
幼いせいで声はまだ高く、歯を出して笑う平太。
哀音も口元を緩ませて応えた。
「旦那さんに子息がいたなんて知りませんでした」
「平太は長州藩の武士の家生まれどす。せやけど、親が亡くなりはってウチの子として育てることになったんどす」
「亡くなった…」
長州藩の武士の出。
藩の名は京でも江戸でも幾度と耳にしてきた。今は京にいる新選組に場所を追われていると。
「――哀音に、殺されたんだ」
平太の悲しい声が突然響いた。
