「……っ…、………」
わたしも、と抱きつく楓の体を抱きしめてやりたい。昔のように、同じように笑って、名前を呼んでやりたい。
けれど、出来ない。
人を殺めた汚い手で、妹に触れたくない。哀音の仲間だと思われ危険な目にあってほしくない。
「人違い、ですよ。ただ、あなたのお姉さんからは伝言を預かっています」
「え……?」
「幸せになってね。姉として会える時がきたら、その時は……一緒に三味線を奏でよう。
そう言っていました」
切れ長の目を細めてにっこり笑うと、目のふちから涙がこぼれる。
小椋はゆっくりと楓を哀音から離した。
「行こう、花」
「……ねえね…」
「小椋様、楓さんを幸せにしてあげてください。泣かせるような事があれば、斬りますよ」
小椋は静かに頷いて礼を言った。
楓をよく見ると、小椋が以前見せてくれた楓があしらわれた着物を身にまとっている。
