「お嬢さん、今日綺麗な髪飾りがあるんどすがどうでっしゃろ」
「旦那さん、今日も元気がよろしいようで」
大和屋の前を通ると主人が顔を出して引き止めた。
京に来てからいつも大和屋できらびやかな髪飾りを買うので、顔なじみだ。
髪飾りは女を飾るのに必要なもの。三味線を弾かせてもらうなら容姿から変えなければ、探している人とも会えないだろう。
苦しながらも季節にあった物や流行りの物は買うようにしている。
「お嬢さんのおかげや。べっぴんさんのあんさんを見ると元気が出てくるんどす」
「お上手ですね。残念ながら、今日買う予定はありません」
大和屋の主人は商売の顔をしない。
優しい笑みは主人そのもので、安心する。
すると、中から幼子が顔を覗かせていた。男の子は主人の子息なのか分からない。
