「守るものがあるから、独りではないから強くなれる。人とはそういうものだ。弱くなるのは、己が弱いからだ」
「………」
「人は死ぬことが恐ろしい。覚悟を持っていても、死ぬ前には必ずその感情は生まれる。
……師匠と呼ぶ方も、桔梗を助けるために身を呈して、刀を受けた。それは、守りたいと思わないと出来ぬこと。
独りでいろと言ったのは、守りたいと思えば桔梗は必ず庇うだろう。そうすれば早死にすることになる。………死んで欲しくなかったのだろうと、思う。
桔梗は優しすぎるから」
優しすぎる、と口の中で呟いて俯く。
ゆっくり瞬きをすれば、雨の雫か何か分からないものが頬を伝う。
「新選組を……信じていますか……?」
「あぁ。私は、新選組の行く末を信じ、ついて行く」
「では、わたしも信じよう。あなたと、あなたの信ずるものを」
独りじゃ見えないものを、見てみたいと思った。