「もしや、あのことで何か分かったのか……!?」
「一応は。……あぁ、言い忘れていました。貴方に一言」
前川に向き合う。
「もし必要であれば、あの話を他の方に話しても構いません。あなたの首をしめるものは、少ない方が良いでしょう」
新選組に話せば必ずどこかからもれ―――京中に哀音の話が知れ渡るだろう。そうすれば、哀音の哀れな生き様を、みなに知らしめることができる。楓には可哀想なことをするが、哀音に会おうなどと考えないなら、それでいい。
それだけ伝え、斎藤に進むように促すと言葉も出ず立ち尽くす前川をよそに、屯所を後にした。
江藤仁と木山金太郎の情報は、なかなか集まらなかった。文もあれから来ることはなく、1週間が過ぎた。
ぱらぱらと小雨が降る中、今日も二人の情報を求めて動く。
哀音の話はまだ聞かないから、前川はまだ話していないのだろう。
しかしそれも時間の問題だ。
気が焦るのを落ち着かせながら、人気のない道を歩く。
「哀音、だねぇ……?」
