「わたしはやはり、哀音だ。その他の生き方は考えられない」
「?……あい」
「独りで生き、独りで死ぬ―――それが人斬りの運命だ」
独り言のようにつぶやいて、ゆっくり立った。
近藤、土方に礼をして広間を出ようとした時。
「!哀音、まさか!」
一度も振り返ることなく、広間を出た。
いつでも戦えるよう、短刀を確かめたが、客人として呼んでいる以上、下手なことは出来ないだろう。
後から斎藤がついてきて、声をかけてきた。
「勝手にうろつかれても困る。外まで送る」
「そうですか」
斎藤が前を歩き、そのあとに続く。
「哀音、待てっ!」
前川の声に斎藤が足を止めた。哀音も止める。
