身構えたが、入ってきたのは前川と沖田だった。
前川の息は上がっていて、整えることも忘れて土方を見ていた。
「断れば、前川をこの場で斬る。今まで情報を流し、協力した事実は変わらねぇ。前川が哀音に新選組に手を貸すようにすると、そう言ったから今まで咎めはしなかった。
だが断るなら、前川が裏切ったという判断で、斬る」
「副長、お言葉を返すようですが……!」
「てめぇは黙ってろ。…どうする」
土方に言われ、前川に目をやる。
咎められてほしいはずがない。傷つけたくない。
けれど、譲れないものもある。
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