息を呑んだ。すぐに建物の陰から出、辺りを見る。誰がこの情報をくれたのかは、分からないが。
力が入り、紙をぐしゃぐしゃにした。
「っ………」
生きている。8年前の、あの男達が。
江藤仁、木山金太郎。
胸にしん、と冷たいものが落ちた。
仇がとれる。哀音として生きてきたことが、報われる。
どろっとした黒い感情でいっぱいになった時、思った。
あの時と、復讐しようと決めたときと似ている。
この感情があったから、生きてこられたのだと。
「愛音だね」
「!」
振り返ると、沖田と斎藤がいた。
「一応この名前だよね?」
新選組の羽織りをまとい、堂々としている態度は変わらない。
変わったと感じるのは、周りの反応。
―――誰も怖がる様子はなく、何でもないように歩き去っていく。
池田屋事件、禁門の変と認められる成果をあげたからだろう。
