-アイネ-









あの日から約一年が経ち、今日(こんにち)約束を果たすように言われ協力をした。









のちに、禁門の変と呼ばれるこの戦いは、松平容保(かたもり)側―――新選組側の勝利で終わった。









2週間経つと、復興作業をする京の人々の様子は落ち着きを取り戻していた。








哀音は愛音の格好――奏者の格好で、三味線を奏でていた。








何人もが足を止め、音に酔う。曲が終わり、拍手が送られてくる中、紙が哀音の元へと飛んできた。










なに食わぬ顔で自然な仕草でそれを手に取ると、周りにいる人達を見た。





誰かが落としたものではないようで、懐へ仕舞う。









「ありがとうございます。今日はこれにて、失礼致します」








三味線を背にし、建物の陰へ移動すると、紙をそっと開いた。







初めて見る字に、知らぬ人からの文だと悟った。











"あなたの家族を壊した者は、長州藩士 江藤仁、木山金太郎。藩士として戦に出ており、未だ生を長らえている。"