時は哀音が見定め、事を起こす手はずだ。








この場にきたからには、さっさと終わらせないと成功するものも成功しない。やってしまおう。








木をしっかり持ち、屋根の上を一気に駆けて、大砲の上に乗る藩士めがけて投げた。先が折れて尖っている木は、藩士の足に刺さった。









痛みに体を揺らした藩士が乗る大砲に、哀音が飛び乗る。懐の短刀を構えて背刀打ちで、大砲から落とした。









「女……っ!!??」







ざわついて、動きを一旦止めた。









「あぁ、動きを止めちゃだめですよ、藩士さん」







刹那、新選組の土方が隊士を率いて藩士らを襲った。




混乱した藩士らを斬りふせる新選組と、大砲を奪いにくる藩士を背刀打ちで気絶させる哀音。









大砲を奪いにくる藩士らを皆片付け、ふと、顔をあげ大砲の上から京の景色を見た。






こんなにも変わるものかと思った。穏やかな顔は消え、荒れ狂う顔が覗いていた。







頭の隅を大和屋の主人の顔がよぎった。京は色々な思いがありすぎる。









「哀音、終わりだ」







前川に声をかけられ、藩士が地に倒れているのに目を細めた。背刀打ちで倒したはずの藩士からも、血が流れ出ていた。








それから大砲から降りると、土方が蛤御門へ戻れと指示を出し始めた。