深呼吸をしてから、昨日教えてもらった動きを確認する。
―――ひゅっ!
なにか音がして、気の棒を手にすると瞬時に飛んできたものを弾いた。
………石だった。
驚いて尻餅をついてしまったが、他に攻撃が来ないように構えていた。
村の奥から足音が聞こえて見ると、師匠がいた。
「尻餅をつくあたりは、まだまだだな」
「!」
石を投げてきたのは、師匠だったのだ。
腰をあげて立ち上がる。
「それにしても、耳いいなぁ!気づかないで当たるかと思ったぞ」
「耳がいいとは、おとう……父からも言われました」
「この棒で防いだのは、機転がきいた。……何か、刀など使ったことはないんだろう?」
「はい。でも、師匠から教わりました」
師匠から教わっているのは、相手が刃物を持って襲ってきた時の対処法なのだが、師匠が襲う動きは目に焼き付けるようにしている。
師匠が襲い、桔梗が己の身を守るために攻撃を仕掛ける。師匠もまた防ぐ行動をとる。
その中で、どう守るか、攻めるかを覚えた。
