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朱色の着物は真紅の液を目立たせることはなく、人通りが少ないこともあり借家にはすぐに帰ることができた。
今頃、死体を見つけた人々が騒ぎを大きくしているだろう。
短刀はたくさんの血を吸い、赤黒く変色しつつあり、胸の鈴がからん、と小さく鳴った。
「芹沢鴨が、新選組の局長…?」
息が荒くなり、鈴を握り締める。
あの男が。あんな男が局長だというのか。
新選組の名は耳にしたことがある。京の不逞浪士を取り締まる武装集団。会津藩預かりとなっている。
「新選組が野蛮な人斬り集団と言われるのも頷けるな」
吐き捨てるように苛立ちを含めて呟く。
