「たてつく気か!!」
怒号とがしゃんと大きな音が耳に響いた。
体を大きく反応させてから、奥から店を覗く。
「!?」
巨体の男と、へらへらと笑う普通の体格の男が、刀を抜いて立っていた。
刃から鮮血がぽたぽたとたれ、雪を赤く染めた。近くに父が倒れていた。
「何をっ……」
「たてつくからじゃ。芹沢鴨に逆らいおって、どうなるかわかっただろう」
「早う金出すんじゃ!」
「おかあさんっっ!」
母の身を案じて、桔梗は走って近づいた。
「桔梗……っ」
「おかあさん……おかあさん、おとうさんが……」
そこで父の顔を見た。すぐに母の手がそれを止めさせ抱き寄せたが遅かった。
「おと……う……」
「桔梗、楓を連れて逃げなさい。隣の花子さんの所へいくのよ」
そう耳打ちすると、桔梗の体の向きを反転させて押した。
「子供か。売ったら金になりそうやのう」
「やめてください!」
「金がないない言うんやったら、子供渡せ」
楓のもとへ行き手を握ると、母が二人の男を外へと押しやった。怯んだ隙に、外へ出る。
走って逃げようとして、後ろで母の短い悲鳴が聞こえたかと思うと、男らがこちらへ向かってきた。
恐怖と戦いながら、足を動かす。
少し行けば作業場がある。そこでなんとかやり過ごせるかもしれない。
