「!………平太、くん?」
「お姉ちゃん、大坂に来てたんだね!」
身長の伸びた平太は、嬉しそうに哀音に近寄り手を握った。
哀音も顔を綻ばせて応える。
「元気そうだね」
「うん!今ね、色んなところに行きながら物を売るお仕事のお手伝いをしてるんだ!それで、大坂にいるんだ 」
「頑張ってるね」
頭を撫でてやると、笑みを深める。
引き取られた先でも上手にやっているようだ。
「お姉ちゃんはずっと、大坂にいるの?」
「ううん、色んなところ回るかな。またばいばいだね」
「そうなんだ…あ、お姉ちゃん」
平太が手を握る力を強め、はっきりと言った。
「ありがとう」
突然言われ首を傾げると、彼はそのまま続けた。
「あのね、おばちゃんがね、哀音の話を聞かなくなったんだって言ってたの。お姉ちゃんが懲らしめてくれたんだよね?だから、ありがとう」
心臓が大きく鳴った。上手に息が出来なくなって、1つ深呼吸をした。
無邪気な笑顔を見せる、目の前にいる人物こそが憎むべき"哀音"なのだと彼は知らない。
