「小椋さんはあれから、会いましたか」
「会ってへん。近頃は演奏も聴いてへん」
小椋が新選組を良く思っていないために、話してくれるかは分からない。
仕方のないことだ、それを承知で文を送った。
大和屋の裏にある道は人通りがなく、とても静かだった。
「ここなら、人も来ないでしょう。……小椋さん、私は前川達個人として話を聞きたく時間を頂いた。
そのうえで、哀音について分かること、知っていることがあれば教えて頂きたい」
「……愛音を見つけてどないするつもりですか」
「……、哀音はまた人殺しをするだろう。だが、人斬りとしての生き方は、哀音自身が望んだことではないのだと、思っています。
だから、止めたい」
恨まれる必要も、苦しむ必要もない。
人斬り哀音がいなくなれば、皆幸せに暮らせるはずだ。
「それは、新選組の仕事を少なくしたい、というのも含まれていますか」
「どうとっていただいても構いません。私はあくまでも、哀音が愛音として生きれるように止めたいと、思ってます」
しばらくの沈黙の後、小椋が口を開く。
