哀音の道はどうであれ、前川の道は新選組での道。これ以上、お互いがお互いに関わりあうべきではないのだ。
「何故、突き放す」
「突き放す?」
「私が咎められようと、切腹しようと、哀音には関係のないこと。だが、傷つけたくないと言っている…仲間ではないのに」
撥を強く握る。
「傷つけぬ為に道を違えようと、言っているように聞こえる。私を守るのか」
「………」
「このまま私が去れば、二度と会うことはなくなるだろう。また、孤独に戻るのか」
そこまで言ってから、じっと借家の扉を見つめた。
このまま去ってしまえばいい。そうして、元の道に戻り互いのことなど忘れてしまえばいい。
哀音はゆっくり笑ってみせた。
