「……ふざけるな」
けれど、返ってきたのは冷たく厳しい声。
「私がそのような愚か者だと思われていたことも心外だが…自己中心的な考えは捨てろ。
自らで背負えなくなったから、楽になりたいと考えるか。今まで殺めた者達の全てを背負う覚悟はないのか。
それは、ただの甘えだ!」
「………っ」
師匠の影がちらついた。
胸がしめつけられて、苦しい。
「私は哀音を殺さない。楽にはさせない。生かしてみせる。人斬りとなった以上死ぬ行為は許さん。…許されてはならぬ」
「っ、自分は良くて相手は良くないなんて……武士は勝手だ!己は戦いで死ぬことが…信念と言えば、死ぬことが許されるのに!」
耐えきれずに涙が溢れる。
「死にざまは立派だったと!死んでも尚たたえられる者には分からない…この、思いは!」
「哀音……」
「哀音になったのは、私が…望んだからだ。私は果たしたい。哀音の恨みを!
強く思うのに……私は…私はっ……」
『自分の道を間違えたら、お前さんは自ら命を絶つやもしれん』
どのような道でも手探りで進むと決めた。
師匠の言葉がようやく、分かった気がした。
