何を言っても結局答えは1つで、口にすることは躊躇われた。仮にも一度は恨んだ集団の1人。どうかしている―――けれど、ぬぐいきれるものでもない。
「あなたが…」
「…………」
「あなたが、咎められるのは気分が良くない。切腹を命じられればあなたは従う。
それが、何よりも嫌だ」
包帯を巻終えて、薬箱を戻しに部屋へあがる。
前川が目線で追うと、花が飾られているのが目に止まった。
飾られている花の隣に哀音が三味線を大切そうに置いて、ずっと胸にかけていた紐を解いて錆びた鈴を花の奥に置く。
撥を2枚、巾着から出しそれも鈴と同じように置いた。
「戻りました」
三つ指をついて、頭を下げる。
「…哀音?」
