三味線に触れる手を、冷たいが温かいものが包んだ。
目をあけて前川の手だと分かっても、振り払いはしなかった。
「今度は私が問う。何故ここで1人戦っていた?」
「宮田さんと田中という方の話を全て、聞いていたからです。狙いは私ですから、受けようとここに来ました」
「私に話してくれても、良かったのではないか?」
「哀音は孤独に生きなければならない。共に戦う仲間は、いちゃいけない」
前川の手の上に、片方の手を重ねて離れさせる。
「8年前、私は孤独であることを条件に……人斬りとして生きる術を教えて頂きました。そして全てを背負うと己に誓った。
それが、私の覚悟」
からん、からん。
耳の奥で響く鈴の音。
「!…誰だ」
暗闇の向こうから、雪を踏む音と影。
哀音が短刀をすぐに出せるよう身構えると、低く笑う声が耳に入った。
前川が刀に手をかけるのをやめて、頭を下げる。
月の光が顔をうつしだした。
