前川と宮田は無言のまま、戦っている。
しばらくすると、前川が口を開いた。
「哀音に恨みがあるのか」
「あぁ、あるぜ。……たった1人の父親を哀音に殺されなければ、生きれた子がおる。
そん子は体が弱くてな、父親がいなくなった後俺が何をしても、衰弱していくばかりじゃった。
そして、死んだ。たった1人で」
「家族…ではなさそうだな。家族でなければ、仇にはならずもし、哀音を殺していたら罪人になっていたぞ」
仇を打つために人を殺すのなら、罪にはならない。
「分かっとる。じゃけんど、今日この計画に参加した奴らは、皆哀音に恨みがあり罪人になっても良いという覚悟をもっとる」
前川が憂いを秘めた眼差しで宮田を見つめる。
「間者として新選組内部を探ることが、ほんの仕事。それでも、前川が哀音と接触しているかもしれへんと思ったときから、この計画をたてよう決めた。哀音の存在は大きい」
「もう、いい」
まだ続けようとした宮田に、静かに制止をした。
「喋らせてくれよ、最後だっていうのに」
「後は刀で話をしようじゃないか。刀は人をうつす鏡だ」
「…はっ、相変わらずかてぇな、お前は」
その言葉を最後に、互いに刃向けた。
