「っ…………」
宮田の息を呑む音が聞こえ、顔だけを彼に向ける。滴る鮮血は雪を赤く染めて、真っ白な世界で浮いていた。
三味線を外して歩くと、建物の壁にもたれかけるように置いた。今まで刃を交える時でも外したことはない。血で汚さない自信もあった。
一度襲った相手。すぐに終えることが出来るはずなのに、嫌な予感が消えない。そしてこういう時の嫌な予感というのは、驚くほど当たる。
「待っていて」
三味線に声をかけてから、宮田に近づいた。
橋から離れたところで見ていた彼は、刀をぬいた。
「哀音、腕を上げたな」
「変わってない。襲った日から何も」
短刀を構えると、相手も刀を構えた。
「1つ、問いたい」
「何だ?殺す前に答えてやろうじゃないか」
「私を襲う理由は、復讐か?」
雪が大きくなり、存在感を強める。
永遠にも感じられる沈黙のあと。宮田は哀愁を帯びた瞳で言った。
