「行け」
宮田の静かな声音と共に、全員が襲いかかってくる。
相手をしながら場所を変えるために走り、橋までやってきた。斬りつけて川に落とせば、何度も襲われる心配はなくなる。冬の川だ、体にこたえるだろうが仕方ない。
「哀音、お前がいなければ……!」
一打が重く後ずさる。その時を見計らって一人が後ろから斬りにかかってくる。
足で蹴りをいれてから男を斬れば、振り返り際に姿勢を低くして斬りつける。
大勢で向かって来るものの、雪で足元が悪く思うように動けないのか命の危険を感じる場面はなかった。
大体、半数は殺っただろうか。周りにいる人数は少なくなってきた。
短刀についた血を払い、間合いをとり機会をうかがう者達に目をやる。
柄を持つ手に力をいれると、雪がちらちらと降り始めた。
途端、大きく心臓が音をたてた。
『うあああああっ!!!』
ゆっくり瞬きをした刹那。
目の前に広がるのは赤と動かなくなった藩士たちだった。
