-アイネ-







記憶を辿り、前川と初めて刃を交えたあの夜に襲った人だと思い出した。そして、哀音だと騒いで刀に手をかけ前川に止められた人物でもあった。













1番組に潜んでいる宮田は、先程の前川との会話を考えると前川が気を許している相手かもしれない。となれば、生真面目な彼が話すとは思えなくとも情報が流れていたと考えても良い。















「哀音がいたのは民家が並ぶこの通りから外れた白川の橋近くだ」















雪を分けて地面に簡単な地図を書いて説明を始めた。







宮田は頷いて地図に手を加える。










「二刻後、半分をこちらの橋の近くに」






こちら、と言って丸で囲ったのは白川とは正反対といってもいい程の距離にある木津川の橋の近くで、新選組が屯所をかまえる近くでもある。










「半分を下加茂社東の民家に集めろ。新選組には木津川に長州藩士がいると情報を流す。それに乗じて俺は下加茂社東の民家へ行く。

橋の方は任せたぞ」











「分かった。剣のたつ奴数人はもらってく。新選組をひきつけるのは楽な仕事やないからな。そのかわり、一刻以上はひきつけるさ」