屯所を出て寺の近くの民家の陰へと姿を消す2人。寺の木がのび、影を作って薄暗い。
哀音は寺の裏にある入口から入り、民家の方へのびる木に手を伸ばした。
今日は帯のように美しい布を帯がわりにしているので、気を登ることは出来そうだ。
"哀音"の時もこのような布を使うことが多く、動きやすいというのが理由だ。
木を登り太い枝を選んで民家の方へ体を運ぶ。
と、声が耳に入る。
「哀音を見つけた。今日のうちに殺ろうと思う」
「新選組に加担する前に、殺るのが得策だな」
「人が多ければ間違いなく殺れる。今回は宮田も加わるだろ?」
身を乗り出して上から姿を捉える。
「あぁ。…人を集めろ、俺の名を使えばついてくるはずだ。哀音を殺ったとなれば、上も認めるだろう。相手は人斬りの哀音、油断をするなと伝えておけ」
周りを気にしながら宮田は田中に告げる。宮田の顔には見覚えがあった。
