-アイネ-





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辺りが藍色に染まり、島原大門の灯がともる頃。







哀音は民家から少しばかり離れた川の近くで三味線を奏でていた。







ここ二日は雪が降り続け、あたりにはまだ積もる雪がある。寒さは和らいだものの、足を動かす度に埋もれるため動きにくくはある。












一音一音確かに弾いて、人通りの少ないその場所で演奏をする。








4日ほど前から京を歩き回り、長州藩士がどこで連絡をとっているかを探るために動いていた。






人を隠すなら人混みの中。それを考えて人通りの多い所から探し始めたが、何ら手がかりも掴めぬまま時が過ぎていた。