「そんなに脅すのなら、わてを守らなかったはずだし、わてを殺しているはずや。そんな顔する必要なかったのに……そういうこと言うんやな」 「………」 「わてのせいで秘密を暴くようなことをしてしまった。命を守ってくれた相手に、ひどい仕打ちが出来ようか。 誰にも言わない」 命も惜しいと言いながら愛音と接するように笑を見せた。 彼からは恐怖を微塵も感じなかった。戸惑いながら礼をする。 雪が衣について寒さを感じさせる。身を震わせると、建物の陰から羽織をまとった前川が姿を見せた。