「小椋様、哀音が女であることは心の内にお留めください。もしそれが出来ないのなら、今ここであなたを斬ります」
「………」
「噂で京に広まっても、あなたを斬りに向かいます。そのうえで問います。心の内にとめることは出来ますか」
沈黙が訪れる。
愛音が哀音だとわかった時、少なからず恐怖は抱いているはずだ。
だから小椋は拒めない、そう思っていた。
脅す形は不本意だけど、発言を取り消すつもりも偽りにするつもりもない。握りこぶしをつくる哀音の手を見、小椋は静かに息を吸ってはいた。
「あんさんは、ずるい人や」
沈黙をやぶって、苦笑した。
