「愛音……?」




「!小椋様」






「人だかりが出来ていて見えなかったがやはり、演奏をしていたのは愛音だったのか」








礼をして大門から姿を現した小椋から芹沢に目を移す。曲がり角を曲がり、姿は見えなくなった。





ここで追っても小椋に怪しまれるし、芹沢の後を追うにはもう遅い、やめた方が失敗はしない。










「小椋様は、以前話して下さった方のところからの帰りですか?」





「恥ずかしいな、否定はできひんのたが」




恥ずかしそうに照れ笑いを浮かべて頭の裏をかく。






「愛音は」





小椋が言葉を続けようとした時、闇の中人の気配を感じた。


そして彼の後ろに、男が走りながら近づくのが見えた。刀を構えている…!





そう分かった途端小椋の手を引いて自分が前に出ると、短刀を懐から取り出し刃を受け止めた。