「そこの美形なお兄さん、今晩どうだい?」
日が暮れ始め、辺りが藍色に染まってきた頃、島原に来てもらおうと声をかける人を見かけるようになる。
大人の人通りが多くなり、島原の大門近くは人で賑わう。
門から少し離れた所で腰を下ろし、三味線を構える。
昨日より人通りが多い今日なら、人が見つかるかもしれない。
愛音が探し求める人はなかなか見つからない。顔ははっきりとは覚えていないが、植え付けられたものは大きく忘れることは出来ない。
「……すぅ」
――――ベベンッ
三味線を鳴らせば数人が足を止める。
――――ベベンッベンッ…
鳴らす度、足を止める人は増えていく。
線を押さえる手を見るふりをして、足を止めた人物をさりげなく確認していく。
「三味線?」
男の声に、反応した。
