姉さん、と言えなくて"ねえね''と呼んでいた楓。 妹を思い、胸を強く押さえる。ドロっとした黒い感情が、心を支配する。 脳裏に映し出されるのはーーーー 「……………」 背中途中まである髪を今度は結ばずに三味線を手に取り借家を出た。 借家には三味線の演奏で稼いだお金を使い住んでいる。 島原で高いお金を出し、大人しい演奏を聴くのも飽きた、又は新しい感覚の音楽を聴きたいという人が町で演奏していると声をかけてくれる。 江戸に住んでいた頃もそうやって生きてきた。