礼を言い小包を開けると、そこには金平糖と一枚の文。
宮田が哀音からか?と言う目で見ているが気に止めず、文を開いた。
[我、潤いを好む。]
「訳のわからねぇ文だな、前川?」
「いや、心当たりはないし、理解出来ぬ内容だ。後で燃やしておくさ」
「あともうすぐ夕餉。大広間にこいよ」
宮田と隊士が部屋を出ていく。
刀の手入れの道具を置き、腰にあるひょうたんの形をした水入れを手にとった。揺らせば中には少量ながらも水が入っているのが分かり、蓋をとって文にかけた。
これで変化がなければ本当にただの訳の分からない文だ。
紙はふやけ、字が滲む。少しの間見つめていると、うっすらと字が浮かび上がってきた。
[満月の夜、橋 待つ。交 話 ]
所々よく見えないが満月の夜に橋に来いと、そういうことだろう。
金平糖と橋―――哀音と出会った場所と前川が渡した物。差出人は哀音で間違いない。
満月の夜は5日後。その日に夜の巡察があれば上手く抜け出す口実を作り行けば良い。その間に事件があれば行くことは叶わない。
試しているのか、覚悟を。
紙を破り捨てると、刀を仕舞い道具を片付けて大広間へと向かったのだった。
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